ニュースで不登校関連の話題を見かけることも増えました。それにつれて「フリースクール」の役割や存在が世の中に知られるようになりましたが、それでもまだ「フリースクールって何?」「どんな授業をしているの?」「どういう子が通うところ?」といった疑問を持つ方は多くいます。
不登校の生徒数が増え続けている背景は、「価値観の多様化」「日本の教育制度のひずみ」「教師の対応能力の低下」「コロナ禍による影響」など、専門家でも意見が分かれる所ですが、「不登校になる学生の数は年々増え続けている」といった事実があります。
文部科学省の「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概」によると、小中高生の長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は244,940人(前年度196,127人)であり、不登校児童生徒数は9年連続で増加し、過去最多となっています。
そのため、小中学生のお子様を育てている親御様は、「不登校は誰にでも起こりえること」という認識を持つことが重要です。
そこで今回は、「お子様が不登校になってしまい、現在フリースクールを探している」といった親御様へ、「フリースクールでは、どんな形式で授業が行われているのか?」について解説していきたいと思います。
フリースクールの授業内容を紹介
はじめに、フリースクールではどのような授業が行われているのか紹介していきます。
フリースクールは、一般的に民間の教育支援団体として運営されています。
つまり、公私立の小中学校とは異なる教育方法や環境の基、授業を進めていくことが可能なため、生徒のニーズや興味に合わせたカリキュラムを作ることができるのが特徴です。
1:多数派は個別指導・少人数指導型の学習塾スタイル
フリースクールでもっともよく見られる指導形態は、いわゆる「個別指導型」や「少人数指導型」の授業です。
学習塾などでもよく見られる指導スタイルです。
生徒の学びの特徴としては、「周囲とペースを合わせて学習するのが苦手」「理解や処理にかける時間が人より時間がかかるため、授業型のテンポには合わない」といった生徒が多いのが特徴です。
個別指導型や少人数指導型は、こうした特徴の生徒にもっとも合わせやすい授業形態のため、採用するフリースクールが多いのに納得できます。
2:なじみのあるクラス授業タイプ
「公私立小中学校のようなクラス授業」をしているフリースクールも勿論あります。
不登校になっていたとしても「集団授業は苦手ではない、むしろクラスのワイワイとした雰囲気は好き」といったタイプのお子様なら、クラス授業タイプを採用しているフリースクールを選ぶと良いでしょう。
3:気になる学習レベルは?
フリースクールの学習レベルは、在籍する生徒の状況によって異なるためレベルはバラバラですが、生徒の興味やニーズに応じて柔軟にカリキュラムが組まれるため、「特定の分野」に深く没頭することができます。
これにより、その分野において高い学習レベルを達成することが可能です。
また、学力については個人の能力差が大きく、フリースクールには学習面でハンデを抱えた生徒も多いため、レベルが低く見られがちです。
ただ、フリースクールだからといって、学力レベルの向上に期待できないといった考えは間違えています。
実際に、フリースクール出身者で公私立高校や国公立大学に合格したお子様を数多く見届けてきたため、「フリースクール=学力的ハンデ」と捉えてしまうのは早計です。
現在の学力が低くても、基礎学力の向上からはじまり、最も適した学習計画を立案し、継続的に努力を重ねていくことで、受験に通用する学力を身につけていくことは十分に可能です
4:フリースクールならではの授業にも期待
学校制度には縛られない特性を活かし、独自の工夫を取り入れた授業を展開しているフリースクールもあります。
「他者とのかかわり方」や「自立した行動」を育むうえでは、通常の小学校や中学校よりも充実したサポートが期待できるフリースクールも多いです。
自主性を重んじる教育
生徒同士のグループで作業に取り組ませたり、学ぶことを生徒自身で決めさせたり、お子様の自主性を重んじるタイプの授業も取り入れられています。
卒業生からは「なんでも自由にやらせてもらえたのがよかった」「失敗や評価を恐れず、色々なことに挑戦できた」といった声も聞かれるなど、不登校になったことを逆手に取るような形で自立を促すことができるのも、フリースクールの授業の特徴です。
総合教育・課外活動
十代半ばの学校生活は青春時代そのものでもあります。
不登校になってしまっても「たくさんの楽しい思い出を作ってほしい」という願いは、親御様の立場からすれば当然のことです。
そのため、多くのフリースクールでは様々な体験実習を取り入れた、総合教育や課外活動に力を入れています。
お子様の成長を促す意味でも、フリースクール選びでは、こうした勉強面以外での活動もチェックしておくべきでしょう。
総合教育や課外活動の様子をホームページやSNSを通じて報告しているフリースクールもあるので、気になるスクールのホームページやSNSは、ぜひチェックしてみてください。
フリースクールの授業をおすすめしたい方
不登校に悩むお子様が、フリースクールという選択肢を既に考えている場合、不登校問題は解決に向かっていると言えます。
そんな中、フリースクールの「授業内容」と「お子様の特徴」による相性を見極めていくことで、不登校問題からさらに迅速な解決も期待できるでしょう。
そこで、お子様のタイプ別でフリースクールの授業をおすすめしたい方を紹介して行きたいと思います。
1: 独自の学習方法を模索している方
学通常の公私立小中学校のカリキュラムには満足できない、ついていくことができず自分に合った独自の学び方を求めている方には、フリースクールの柔軟で多様な授業内容がおすすめです。
自身のペースに合わせた学習環境や、自分にとって興味のある実践的な職業体験の授業を受けることが可能なため、才能を発見できる可能性が高く、自身に必要な能力を伸ばすことができます。
2:自主性や創造性を重視したい方
フリースクールは、生徒の自主性や創造性を重視する教育方針が多く、これらの価値観に共感する方に適しています。
例えば、自分で課題を設定し、解決策を考案するような授業が行われることがあります。
これにより、生徒は自分の考えやアイデアを発展させることができます。
指示待ち人間より、指示を待たずに行動できる人間が評価される時代の中で、自主性や創造性を大切にした授業をおこなうフリースクールは、これからの教育環境に大変マッチしているかと思います。
3:生まれつきの特徴を持つ方
「学習障害が指摘されている」「発達障害の疑いがある」「パニック障害がある」「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)ないしHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の指摘」など、不登校の原因となってしまう可能性のある「生まれつきの特徴」はいろいろあります。
フリースクールはこうした「特徴」に理解のある教員、専門的な指導スキルを持つスタッフが揃っていることが多いため、通常の学校生活に不安があるようなお子様でも、伸び伸びと授業を受けることができて、活動することができるでしょう。
4:もともとは活発だった方
「もともとは勉強には意欲的だった」「以前は活発に学校生活を楽しんでいた」といった方が、何らかの原因で「現在は不登校になってしまっている」というケースでは、フリースクールの授業が大きな効果をあげるときがあります。
こうしたタイプの方は、不登校になってしまったことが「ちょっとしたしたボタンのかけ違い」「歯車のズレ」による原因であることが多く、この原因を引きずってしまい、ネガティブな感情に陥ってしまう方が多いです。
そんな中、独自の授業を展開するフリースクールで学ぶことによって、自分に合った新しい価値観に触れて、元々の前向きな気持ちを取り戻すことができれば、生活環境や学力が大きく前進する例が見られます。
5:不登校と中学入試の経験が関連している方
より充実した学習環境を求めて挑戦した「中学入試」。特に競争の多い都市部では、人気が過熱気味です。筆者の経験上も「中学入試で無理をしてしまったお子様」、いわゆる「燃え尽き症候群的な状態」で不登校になってしまい、親御様から相談を受けることがあります。
志望校に受かったのに馴染めずに不登校になってしまった方が、フリースクールで自身のペースに合わせて授業を受けることで、学ぶことに対して本来の前向きさを取り戻すきっかけになると思います。
フリースクールの授業内容まとめ
本記事では、フリースクールの授業内容について解説しました。
フリースクールは、一般的な学校とは異なる教育方針や授業内容のため、多様なニーズに対応しています。
指導形態、自身のペースに合わせたカリキュラム、学習サポート体制が充実していることがフリースクールの授業面での大きな特徴です。
そのため、学習障害や発達障害を持つお子様、独自の学び方を模索しているお子様、自主性や創造性を重視するお子様、勉強のプレッシャーから解放されたいお子様におすすめです。
フリースクールは、多様な教育ニーズに対応できる柔軟性と独自の教育方針を持っているため、現在学校へいくことができない小中学生にとって有益な選択肢になります。
フリースクール選びの際には、お子様の現状や目標に照らし合わせて、適切な授業内容やサポート体制が整っているか確認しましょう。
お子様や親御様にとって最適なフリースクールを見つけて、お子様に最も合った学びの場を手にいれましょう。
「長期の不登校をなくしていくために。」
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