通信制高校には全日制高校にはないさまざまな魅力があるため、近年生徒数が急増傾向にあります。
今回は、通信制高校への転校(転入・編入)に興味がある人のために方に向けた、「通信制高校の正しい選び方」を紹介します。
「もっと自由な学び・新しい価値観・新しい学習スタイルがあっても良い」という世の中の流れもあり、最近はとても人気を集めている通信制高校ですが、安易に学校を選んでしまうと後悔するようなデメリットもあります。
20年以上教育支援業に携わり、不登校問題や高校中退後の学び直しなどの支援も行なってきた筆者の知見も加えながら通信制高校を紹介したいと思います。
通信制高校の基本的な仕組み
全日制高校や定時制高校は授業が行なわれる時間帯は違うものの、「学校に毎日出席して授業やテストを受けて、3年かけて卒業する」といった流れは共通しています。
一方、通信制高校では出席はあまり重要ではなく、「学んだ内容に準じて与えられる単位」を必要数(74単位が基本)取得したら卒業が可能です。
ただし在籍は3年以上が必要とされるため、2年間で一気に単位を集めても卒業資格が得られるわけではありません。
また、出席についても月数回のスクーリングが設けられていることが多く、年間トータルで20~50日程度の出席が必要となる通信制高校が多いです。
<「全日制・定時制高校」と「通信制高校」の比較>
卒業要件→出席とテスト・学年制が基本(全日制・定時制高校)/レポート提出とテストによる単位認定(通信制高校)
出席の仕方→通年での登校(全日制・定時制高校)/スクーリング等(月あたり数日~)(通信制高校)
授業の形式→クラス単位の授業が基本(全日制・定時制高校)/通信型(郵送・Web視聴・教材学習)・スクーリング(通信制高校)
学校行事・部活動等→あり(全日制・定時制高校)/あり(通信制高校)
通信制高校はコースを複数選択することができるため、上記の内容が完全に当てはまることはありませんが、全日制・定時制高校と通信制高校の違いをまとめると大枠上記の内容となります。
通信制高校の学校数・生徒数は増え続けている!
紹介してきた通り、通信制高校の生徒数は近年急増中です。
文部科学省の高等学校通信教育の現状についてのデータによると、高等学校の生徒数の推移について、近年、全日制・定時制高校の生徒数は全体として減少傾向にあるが、通信制高校の生徒数は全体として増加傾向にあります。
平成2年の通信制高校の生徒数が166,986人に対し、令和2年は206,948人と年々増加しております。
一方、平成2年の全日制・定時制高校は5,623,336人に対し、令和2年は3,092,064人と減少傾向になります。
また、生徒数同様に、学校数も同じ傾向となります。
平成2年の通信制高校の学校数は84校に対し、令和2年は257校と3倍以上も増加しております。
一方、平成2年の全日制・定時制高校は5,506校に対し、令和2年は4,874校と減少傾向になります。
しかし、通信制高校の人気が集まっているからこそ注意も必要です。
一部ですが、悪質な運営体制の通信制高校や生徒数の急増に対応できていない通信制高校の存在も指摘され始めているため、学校選びはしっかり見定めることが重要です。
通信制高校の正しい選び方5点
通信制高校を選ぶための選び方のポイントを5点紹介します。
通信制高校を選ぶための5つのステップと考えていただき、ステップ1~ステップ5の順番通りにご確認いただくことをおすすめします。
ステップ1:通信制高校の分類を理解する
最初に、通信制高校の分類を理解しましょう。通信制高校には「公立」と「私立」に分類することができます。
公立の通信制高校は各都道府県に1~2校と数が少ないものの、学費が安いことが魅力です。
運営元は自治体の教育委員会などが担っています。
一方、私立の通信制高校は全国にたくさんあり、学校の特色も豊富です。
学費は公立に比べて高いことが多いものの、就学支援金(後述)を活用することで、学費は安く抑えることも可能です。
また、費用面を差し引いても私立の通信高校は、個性あふれる環境を準備しています。
公立、私立通信制高校の詳しい違いについては、それぞれの特徴をまとめた記事をご用意しているため、よろしければご確認ください。
ステップ2:単位認定とスクーリングの違いを理解する
通信制高校へ入学するためには、中学校で学ぶ学力があれば難しいものではありません。
また、それ以下の学力でも入学自体は可能な場合もあるため、入学の敷居は大半の全日制高校に比べて低いです。
ただし、簡単に卒業できるわけではないので注意が必要です。
通信制高校を卒業するためには「単位認定」と「スクーリング」があることを理解しておきましょう。
通信制高校は基本的には「学校へ通わなくてもいい考え」は正しいですが、学校へ通う必要性もあります。
単位認定とは?
教科・科目ごとに教材などで学び、学んだ内容をレポートやテストで審査されて、合格すると単位として認定されます。
通信制高校では基本的に74単位を取得することにより卒業を目指します。
国語・数学・英語などの学術科目で単位取得することはもちろんのこと、IT関連技術、美容、マナー研修等々・・・、全日制高校や定時制高校にはない「少し変わった専門科目や行事参加」でも単位を取得することができる通信制高校が多いです。
スクーリングとは?
登校日・面接指導などとも呼ばれ、学校へ実際に登校して授業を受けたり、指導担当の教員などと面談をします。
月に数日行なうのが通例です。
多くの通信制高校では複数のスクーリングコースを用意している場合が多いです。
週1日通学するスクーリングするコースや全日制高校同様、週5日通学するコースもあり、通学しながら単位取得を目指していきます。
また、集中スクーリングという「合宿型のスクーリング」を取り入れている通信制高校もあり、1~2週間の宿泊研修に参加し、1年分のスクーリングとして認められるような高校もあります。
ステップ3:就学支援金についての情報を確認
令和2年よりスタートした「私立高校授業料実質無料化」は通信制高校も対象となっているため、ご利用をおすすめします。
お申込みにあたり、ご家庭の年収等の制限はあるものの、ご利用できるようであればおすすめの支援金制度です。
ご利用条件やお申し込み方法については、下記サイトに詳しく掲載していますのでご確認ください。
ステップ4:通信制高校選びを明確化する
「通信制高校で学ぶ目的」をはじめ、「通信制高校の特徴や学費など」の調査があげられます。
これは、通信制高校選びで非常に重要な項目になります。
「自分のペースで勉強がしたい」「とにかく高校の卒業資格がほしい」「高校で専門的な技能コースを学びたい」等々。
通信制高校で学ぶ理由はその人によっていろいろあります。
その中で大切なことは、「何のために通信制高校に行こうとしているのか?」を、通信制高校の選定前にしっかり目的を明確化しておきましょう。
また、ネットなどで通信制高校の情報を探していると、多くの情報を目にすることがあります。
その中で色々な情報を見ていると、情報過多になってしまい、当初の目標からズレた情報を多く取得してしまい、考えや想いがブレてしまうこともあります。
そのため、予めノートやWordなどに、通信制高校へ「通う目的」や「どんな通信制高校へ通いたいのか」「考えている学費」等の希望することをまとめておけば、当初の目的とはズレないように情報を探していくことができるかと思います。
ステップ5:資料請求や学校見学を利用する
ここまでの4点のステップの確認を終えたら、気になる通信制高校へ「資料請求や学校見学、気になる疑問点をお問合せしてみる」等を、通信制高校のホームページから積極的にお問合せをしてみくださいましょう。
実際に疑問点をお答えいただいたり、請求した資料を読んでみたり、実際に学校見学や体験入学してみることで、気になる通信制高校をより具体的にご理解できるかと思います。
さまざまなコースや学び方が設定された通信制高校が数多くあるため、ステップ4で明確化した「通信制校億へいく目的」を念頭に、自身が満足して在学できると思った学校との出会いを期待しています。
通信制高校を選ぶときの注意点
通信制高校はとても魅力的な学び場所ですが、人気が高まるにつれて問題点も指摘され始めています。
そのため、ここでは通信制高校に関する現状も踏まえて、通信制高校選びでの注意点を紹介します。
1:デメリットを理解しておくこと
通信制高校を調べているとメリットがたくさんあるように感じるかもしれません。
しかし注意すべき落とし穴やデメリットもありますので、意識しておきましょう。
通信制高校のメリットやデメリットをまとめた記事をご用意しているため、よろしければご確認ください。
→通信制高校のメリットとデメリット・問題点を現場関係者が紹介
3年で卒業することが少しだけ難しい場合もある?
通信制高校の意外な落とし穴は、3年間で卒業できる可能性がやや低いことです。
特に、不登校で中学校までの基礎学力が不足していたり、やる気が続かなかったりして卒業までに4年以上かかってしまう例があります。
そうすることで、これからの人生計画が狂ってしまう可能性もあるため「3年間で卒業するための計画性作り」が、大切になってきます。
なお、文部科学省の調査によると、通信制高校の卒業率は私立で約95%・公立で約93%となっているため、全日制高校が約99%卒業できているのに比べると、わずかに卒業率が低いといえます。
ただ、通信制高校の卒業率も90%以上であることから、決して卒業率が低いわけではありません。
受け入れ体制が不十分な通信制高校の存在
通信制高校の人気が上がるにつれ、受け入れ体制が不十分な学校や教育体制ができていない通信制高校の存在も指摘され始めており、すでに専門家による分析や話し合いが始まっています。(※1)
一部の例外を除き、多くの通信制高校の教育現場では誠実な指導がされているため、大きな問題ではありません。
ただし、万が一、自身が受け入れ体制が不十分な学校へ入学する可能性があるのは確かなので、注意が必要です。
(※1)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/mext_01290.html
2:必ず複数候補を検討すること
「通信制高校の学校数・生徒数は増え続けている!」でも紹介しましたが、「悪質な運営体制の通信制高校や生徒数の急増に対応できていない通信制高校」に万が一でもあたらないように、学校を選ぶ際には複数の学校候補から選ぶことが必須です。
また、通信制高校はそれぞれの特徴がある中で、人によっては、一つの学校のみに魅力を感じることもあるでしょう。
ただ、選択肢を一つにしてしまうと、学校見学にいって実際思っていた学校と違った際に、通信制高校へいくモチベーションが大幅に低下してしまう恐れがあります。
そのため、通信制高校を選ぶ際には、必ず複数の学校候補から選ぶことがおすすめです。
通信制高校との出会いで充実した毎日が送れますように
現在通信制高校にいこうか考えている方に必要な情報をまとめました。
通信制高校では「多様な生き方」が選択でき、「将来の夢や目標」を叶えることができる未来型教育の側面があります。
通信制高校の数と生徒数は年々増加傾向の中、「どの通信制高校へいけばいいのか分からない」とお悩みな方へ。
上記でお伝えした「正しい通信制高校の選び方」をご参考頂くことで、間違えた選択方法をせず、ご自身に合った学校を見つけることができるかと思います。
通信制高校で新たな第一歩を踏み出し、充実した学びの場に出会えることを願っています。
「長期の不登校をなくしていくために。」
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