中学校卒業後の進学先や、現在通っている高校から通信制高校へ入学しようか考えている中高生の方やその親御様の中には、「通信制高校は周りからどの様に思われているのか?」と思う方は多くいるかと思います。
ネットで口コミ等を見れば、通信制高校の「良い話し・悪い話し」が書かれていますが、都教育庁が実施した進路志望調査(2022年12月)では、私立通信制高校への進学志望者が2017年に比べて3倍強にも上がっている調査結果が出た様です。
ここ数年で存在感を増し、全国的にも学校数を増やしている通信制高校ですが、教育現場から見た通信制高校のイメージを紹介していきたいと思います。
近年の通信制高校の傾向
通信制高校は全日制高校に代わる新たな教育形態として、近年注目を集めています。
特に、生徒の生活スタイルや学習ニーズの多様化に対応する教育システムとして、通信制高校の存在感が増しているのかと思います。
また、通信制高校の受け入れる生徒数も増加しています。
通信制高校は、従来の学校教育が困難な生徒にとって、新たな学習の場として注目されています。
具体的には、学習のペースを自分で調整したい生徒や、働きながら学びたい生徒、通学が難しい状況にある生徒などが、通信制高校を選択しています。
さらに、情報通信技術の発達やコロナ禍の生活環境の変化に伴い、オンラインでの学習が一般化してきたことも通信制高校の普及に寄与しているかと思います。
テクノロジーの導入は、通信制高校の教育内容がより多様性と柔軟性に対応され、様々な生徒の学習スタイルに対応しています。
以上のような状況を踏まえると、通信制高校は現代社会の教育ニーズに対応した柔軟な教育形態と言えるかと思います。
その中で、通信制高校のイメージを紹介して行きたいと思います。
通信制高校に対するポジティブなイメージ
通信制高校に対しては、ポジティブなイメージを紹介します。
生徒一人ひとりの自由度の高さ、多様な生活スタイルへの対応力、個別の学習支援の充実など、様々な側面から評価されています。
教育業界の現場を長年見ている視点から、ポジティブなイメージを2点紹介します。
1:自由と自立の育成
「自由と自立の育成」は通信制高校が持つポジティブなイメージの一つで、通信制高校の教育理念を作り上げる根底です。
生徒が学習環境を自分で計画し、実行するという特性が自立心の育成につながっています。
教育体制がしっかり出来上がっている通信制高校では、生徒が自分の学習ペースや学習計画を設定することが求められます。
これは、一見、負担に思えるかもしれませんが、実際には、自分自身の学習をコントロールする能力。
つまり「自己管理能力を養う」絶好の機会です。
この能力は、学問だけでなく、社会に出てからの仕事や生活全般においてもとても重要なスキルへと繋がります。
また、自分で学習計画を立てることで、自分が何に興味を持ち、何を学びたいのかという自己理解を深めることもできます。
自己理解は、自己肯定感の向上につながり、自己成長を促す重要な要素です。
さらに通信制高校では、生徒が自分の目標に向かって自発的に動くことも求められる学校が多いです。
これは、自立心を育てる上で重要な要素であり、社会人としての自己管理能力や問題解決能力を養うことにつながります。
通信制高校の教育方法は、生徒が自分自身の学習を自分でコントロールし、自分の興味や関心に基づいて学習を進めることを推奨します。
これにより、生徒は自由と自立の精神を育むことができます。
そのため、教育体制がしっかり出来上がっている通信制高校については、高校卒業後の人生にも活かせる能力を身に付けるための教育を行う学校が多いイメージです。
2:多様性への対応
通信制高校のポジティブなイメージの2点目は、「生徒の多様性に対して向き合ってくれる学校」が多いです。
通信制高校は、生徒の生活環境や学習スタイル、学習ニーズに対して「生徒個々の現状」を認めた上で、学びの場に対応する環境です。
通信制高校は、各生徒のライフスタイルに合わせた学習を実施しています。
たとえば、本格的にスポーツに力を入れている生徒、働きながら学ぶ生徒など、特定の活動に時間を割く必要がある生徒は、自分の時間を最大限に活用しながら高等教育を受けることができます。
この柔軟性は、通信制高校が多様な生徒群に対応できる大きな要因となっています。
また、生徒が自分自身の学習スタイルに合わせて学習を進められることも、通信制高校の多様性への対応力を示しています。
通信制高校へ通う生徒は、自分のペースで学習を進められることで、「学習効率を高めることができる」と言ってくれる生徒が多いイメージです。
生徒一人ひとりが自身の理解度に合わせた学習を進められることで、より深い理解を得ることが可能となります。
さらに、通信制高校では、生徒の学習ニーズに対応するための様々なプログラムやカリキュラムが提供されています。
専門的な知識や技術を学びたい生徒のためのプログラムなど、多様なニーズに応えるための教育が行われています。
通信制高校が多様な生徒のニーズに対応できる環境が、通信制高校の学習環境を魅力的なイメージを作り上げているように感じます。
通信制高校に対するネガティブなイメージ
ポジティブな側面を持つ一方で、通信制高校にはネガティブなイメージを持つ人もいるのが現実です。
例えば、自己管理能力の必要性、社会性の育成、そして質のバラツキといった問題点に関連しています。
ポジティブなイメージ同様に教育業界の現場を長年見ている視点からネガティブなイメージを2点紹介します。
1:社会性欠如の懸念
通信制高校に対するネガティブなイメージの一つに、「社会性の欠如の懸念」があります。
伝統的な対面式の全日制の高校教育では、生徒は教室で共に学ぶことにより、自然とコミュニケーションスキルや協調性を身につける機会が多くあります。
これに対して、通信制高校は学校に行かずに自宅で独自に学習を進めるといったイメージを持つ人がいます。
そのため、「同級生との直接的な交流の機会が少ない」といったイメージを持つのかと思います。
この特性から、「通信制高校では生徒が社会的なスキルを十分に身につけることができないのではないか」といったネガティブなイメージを持つ人がいます。
また、学校生活は生徒間の人間関係を通じて、他者への思いやりや、公共の場での振る舞いといった社会的なルールを学ぶ重要な場でもあります。
そのため、通信制高校の生徒が社会性を十分に育てることができるのかといったネガティブな疑問を投げてくる人もいます。
しかし、このネガティブなイメージに対しては、通信制高校も様々な対策を講じています。
多くの通信制高校では、スクーリングを中心としたコースを用意したり、学校行事などを通じて生徒たちが直接会う機会を設けています。
そのため、生徒たちはコミュニケーションスキルを磨くとともに、他者との共同作業を経験することができます。
また、オンラインでの授業やグループ作業、チャットやフォーラムを通じたディスカッションなど、インターネットを活用したコミュニケーションの場も設けられている通信制高校も増えています。
オンラインの場を通じて、生徒たちは適切なネットマナーやデジタルコミュニケーションのスキルを身につけることができます。
通信制高校の教育環境でも「社会性の欠如の懸念」を払拭できる十分な対策がとられていることを、ネガティブイメージで持つ人から理解してもらうことが重要かと思います。
2:教育全般の質が低いと思われること
通信制高校に対するもう一つのネガティブなイメージは、「質の保証への疑問」です。
これは、教育の内容や教育水準、教員の指導能力などに対する疑問を指しています。
通信制高校は全国に多く存在し、それぞれが独自のカリキュラムや教育方針を持っています。
そのため、学校によって教育内容や教育水準、教員の質にバラツキがあると指摘されることがあります。
通信制高校では、優れた教育プログラムとサポート体制を提供し、生徒一人ひとりの学習ニーズに対応するための独自のカリキュラムを構築しています。
しかし、教育の質が一定の水準を満たしていない通信制高校もあります。
通信制高校は全て同じと考えている人の中で、水準を満たしていない通信制高校の印象をはじめに持ってしまうと、「通信制高校=教育の質が低い」とネガティブなイメージを作ってしまうのかと思います。
しかし、通信制高校は様々な取り組みを行っています。
教育の質を向上させるためには、カリキュラムの見直しや教員研修、教育の評価体制の強化などが行われています。
また、生徒一人ひとりの学習進度や理解度を把握し、必要に応じて個別の指導を行うなど、生徒の学習支援にも力を入れています。
それぞれの通信制高校が教育の質を確保・向上するための取り組みを行うことが重要であり、ネガティブなイメージを持つ人に質の高さを理解してもらえる様に改善していくことが重要です。
通信制高校のイメージまとめ
通信制高校は、今日の教育環境において重要な役割を果たしています。
それは自由と自立の育成、多様性への対応、教育の機会均等など、様々な観点からの価値が認識されています。
しかし、それと同時に社会性の欠如や、教育の質に対する疑問などの、ネガティブなイメージの払拭といった課題もあります。
通信制高校は多様な学習ニーズに応える重要な教育システムです。
生徒一人ひとりが自分自身の学習を管理し、自分のペースで学習を進めることができる環境は、生徒たちが自立した学習者として成長するための重要なステップとなります。
また、通信制高校は教育の機会均等を実現する役割も果たしています。
全日制高校に通うことが難しい生徒に対して、通信制高校は新たな学習の道を提供し、教育を受ける権利を保証しています。
そのため、通信制高校に対するイメージは、その多様性と柔軟性、そして教育の機会均等への貢献を踏まえた上で、正確に理解し評価してもらえることが必要です。
そして、それぞれの生徒にとって最適な教育環境を提供するためにも、通信制高校がどのように進化していくかを見守り、作り上げていくことが、イメージアップとして求められる要因になるのです。
「長期の不登校をなくしていくために。」
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